努力、汗、涙、友情で私たちの胸を熱くしてくれる「スポ根アニメ」。そんなスポ根アニメに対する認識が世代によって大きく異なっていることをご存知でしょうか?
かつてのスポ根といえば、汗と泥にまみれてシゴキに耐え抜き勝利を掴む王道サクセスストーリーでした。しかし、昨今ではあくまでも爽やか、かつ理不尽なシゴキではなく科学的なトレーニングに則りチームメイトと勝利を目指すストーリーがファンの心を掴んでいるようです。
元アニラジパーソナリティのおたっきぃ佐々木さんと、声優の天海由梨奈さんが出演するニコニコ生放送番組「やっぱ、アニメでしょう」では、野球、サッカー、バスケットボールなどの様々なスポ根アニメの新旧名作を紹介。
時代の流れを経て変わってきた物語の傾向や、今後アニメ化が期待されるスポーツについて語られました。

魔球要素が多かったスポ根野球アニメ
おたっきぃ佐々木(以下、おたささ):
スポ根アニメはどんなイメージがありますか?
天海:
スポーツ系のアニメ。努力して勝利を掴む感じのイメージがありますけれども。
おたささ:
作品で言うと?
天海:
私が一番印象に残っているのは『SLAM DUNK』ですかね。親とかも結構見ていたので、私も小さい頃から見ていて、かっこいいな~みたいな。素人からどんどん上手くなっていくというのも、勇気がわくかなと思って。
おたささ:
流れみたいなのがいろいろ変わり続けている感じなので、そんなところもほじくり返しつつ、あれこれ見ていきたいと思います。こちらに表があります。野球スポーツアニメ一覧みたいな感じで、『巨人の星』『アパッチ野球軍』『侍ジャイアンツ』『ドカベン』『一発貫太くん』『タッチ』『ミラクルジャイアンツ童夢くん』。
野球以外にサッカーもやっていたけれど『疾風! アイアンリーガー』『H2』『プリンセスナイン 如月女子高野球部』『MAJOR』『おおきく振りかぶって』『ONE OUTS』『クロスゲーム』『大正野球娘。』『ダイヤのA』などなど。
『プリンセスナイン 如月女子高野球部』とか『大正野球娘。』は女子野球みたいな感じで。『タッチ』や『H2』はスポ根と言うと難しいとこだな。
とりあえず野球メインだと、『巨人の星』というのは、「♪思いこんだら試練の道を~」というので、ローラーを引いているシーンがオープニングであったじゃないですか。あれは「重いコンダラ」というものだと思い込んだ人がたくさんいたっていうね(笑)。

(画像は巨人の星 |Amazonより)
おたささ:
あれはコンダラじゃないですよ、ただのローラーですよっていう(笑)。
天海:
そういう解釈もあったということなんですね。面白い。
おたささ:
それでみんな刷り込まれて、あれがコンダラだと思ってみたいな話があったり(笑)。いわゆるスポ根の金字塔な感じがします。
『アパッチ野球軍』はたぶん知らないと思います。ある意味、オープニングの歌詞に、野球アニメとしてどうなんだろうというのが凝縮されていまして、「♪俺たちゃ はだしがスパイクさ、たまにゃ 三塁へ 逆走するが~」って、え!? みたいな話で(笑)。
『侍ジャイアンツ』は『巨人の星』も大リーグボールがありましたけれど、『侍ジャイアンツ』はわりと魔球要素が強い。アニメ化されていないんだけれど『アストロ球団』とかで盛り上がったりして。『侍ジャイアンツ』は分身魔球。縦に3つ分身して見える。それは打てないでしょうと。

(画像は侍ジャイアンツ | Amazonより)
天海:
打てないですね。
おたささ:
それが打たれた時に、次は横分身。
天海:
なるほど。縦がダメなら横だ! みたいな。
おたささ:
最終回で縦横分身するっていう(笑)。海老投げハイジャンプ魔球っていう(笑)。
天海:
確かにこれは打てないですね(笑)。
おたささ:
避けますよね。今コメントでも流れていましたけれど、本当のルールで言ったらボークですよねっていう話です。そういうのがありつつ、次に76年から『ドカベン』がはじまります。

(画像はドカベン | Amazonより)
おたささ:
今まではプロ野球じゃないですか。『ドカベン』は高校野球なんですけれど、わりと真面目に野球をするんですね。
わりと地味な感じでいくんですが、相手チームが癖のあるチームだったりして、通天閣打法というのが、通天閣くらいの高さまで上がるみたいなすごい高いフライを上げたり、あとは三つ子がチーム内にいて、こっそりユニフォームを着替えて交代してピッチャーをひとりでやるみたいな。わりとセコい手段を使って単なるズルじゃん! みたいな。
あとバントなんだけれど、すごいイレギュラーするバントとか、あと白鳥の湖打法とか悪球打ちの岩鬼はボール球しか打てないみたいな。敬遠ボールが来るとそれをホームランにする、でも真ん中の球は絶対打てないみたいなそういう要素があったりして(笑)。
プロ野球編とかもありつつ漫画のほうも完結して、そんな流れから2004年くらいになって『MAJOR』とかになってくると、これも普通に野球。魔球要素があまりないんじゃないですか。あとは『おおきく振りかぶって』とかもそうですね。
わりと必殺技とか汗臭さというのが、だんだん消えてくるんです。
天海:
言われてみれば確かに。
天海:
確かに!
おたささ:
たとえば『Free!』とか『ユーリ!!! on ICE』とか、努力はしているんだけれど、根性とかの要素もあるんだけれど、それが汗臭さが泥臭さじゃなくて、綺麗な汗臭さ。
天海:
いい臭いがしそうですもんね。
おたささ:
そういう流れがいろいろなスポーツに見られるんですよ。
必殺技からシフトしてきたスポ根サッカーアニメ
おたささ:
続いてサッカーアニメ。『キャプテン翼』『あしたへフリーキック』『蒼き伝説シュート!』。これで言うと『キャプテン翼』はわりとスカイラブハリケーンとか必殺技もあったりして、でもだんだん真面目になってきていますよね(笑)。
天海:
まだ放送されていますよね。
おたささ:
4期をやっているんですよね。だいぶ間は空いているんですけれど。『ホイッスル!』『ハングリーハート WILD STRIKER』『イナズマイレブン』『GIANT KILLING』『エリアの騎士』『銀河へキックオフ!!』こんな感じでいろいろありました。
天海:
『イナズマイレブン』よく見ていたな~。塾がはじまるのが19時なので、親に送ってもらう時に18時くらいに車で見てみたいな。

(画像はイナズマイレブン | Amazonより)
おたささ:
でもこの中で言うと、『イナズマイレブン』は必殺技とかがあって、わりとトンデモ系じゃない?
天海:
面白かったな~(笑)。
おたささ:
だんだん必殺技というよりは、普通にスポーツのほうを真面目にやって、努力をするのでも練習法に沿った方向にいくんじゃないのかなと。そのきっかけがこの作品だったんじゃないかなと思う。
時代の流れで根性論はスポーツからアイドルへ
おたささ:
バスケットボールにいってみましょう。『ダッシュ勝平』はいろいろなものをやっていましたけれどね。フェンシングをやる回とかもあって。ただバスケをする回が一番長かったとは思うんですけれども。そして当然のように出てくる『SLAM DUNK』。
そして『DEAR BOYS』『BUZZER BEATER』そして『黒子のバスケ』。『SLAM DUNK』というのがわりとポイントだったんじゃないのかなと思うんですよね。
おたささ:
『ロウきゅーぶ!』はあとで触れるよ(笑)! 決まってるだろ(笑)!
天海:
こう見ると、私のスポ根アニメのイメージはバスケが一番多いかもしれないですね。
おたささ:
『ダッシュ勝平』はわりと思い切りジャンプして、ユニフォームに空気を入れてパラシュートシュートみたいな、わりと必殺技っぽい。バスケはダンクシュートがありますからね。
天海:
最近やっていた『黒子のバスケ』とかは、がっつり必殺技みたいなものはありましたけれど。
おたささ:
他にもバレーボールは『アタックNo.1』『ハイキュー!!』。テニスは『エースをねらえ!』『テニスの王子様』『そふてにっ』。ゴルフは『あした天気になあれ』や『プロゴルファー猿』。アメフトは『アイシールド21』。
天海:
懐かしい! 面白かった!
おたささ:
『アイシールド21』は特訓とかがすごい。こうすれば勝てるからみたいな戦術的。『巨人の星』とかは力押しみたいな感じで、とにかく力と力がぶつかり合えば強いほうが勝つ! みたいなもので、戦術とかなかったじゃないですか。とにかく力で押しつぶせみたいな。だんだんそういうのが使えなくなってくるのかなみたいな。
ボクシングでは『キックの鬼』『がんばれ元気』。『はじめの一歩』なんていうのは、今でも根性モノの路線が残るところかなと思うんだけれど。根性論、理不尽が出てくる要素になっているのは、理不尽をしないと勝てないような敵が出てこなくなった。

天海:
なるほど。
おたささ:
さらに上手の、みたいな。力と力のぶつかり合いだと負けるけれど、戦術的にこうすれば勝てるよみたいな。理知的になってきた。賢くなってきたのかな。『あしたのジョー』とかは、わりと理不尽な感じでノーガード戦法みたいな感じで、力と力のぶん殴り合いみたいな(笑)。
あとはカーレースだと『新世紀GPXサイバーフォーミュラ』『頭文字D』『湾岸ミッドナイト』。ロードレースモノで『Over Drive』や『弱虫ペダル』。剣道で『六三四の剣』『BAMBOO BLADE』。あとは柔道だと『YAWARA!』。空手で『空手バカ一代』。プロレスで『タイガーマスク』みたいな。
時代の流れで根性論みたいなものが変わってきたところがあるじゃないですか。その根性がどこにいったと思います? スポーツアニメから失われつつある根性論の世界がどこかにいっているんですよ。
天海:
アイドル!

おたささ:
アイドルなんですよ。男がアイドルアニメに触れるのって、きっとあそこなんですよね。昔のスポーツアニメにあった泥臭いところとか根性論みたいなところを、それこそ可愛い女の子の綺麗な汗。
天海:
こっちもいい香りしそうですね。
おたささ:
そういうところにズレていったのかなと。あと戦う女の子モノとか。あのへんとかもわりと根性モノに近いところになっている。だからいろいろな部分がシフトしていきながら回っているんじゃないのかな。
天海:
きっとまた戻ってきますよね。
おたささ:
そうそう。そういう時代になってくると、揺り戻しでこういうのが面白いというのが出てきたりするんじゃないのかなと。
(出典 news.nicovideo.jp)
<このニュースへのネットの反応>
巨人の星とか実際は見たこと無いけど「スポ根」と言ったら巨人の星みたいなのだと思うわ。うさぎ跳びをするとかコーチが竹刀でブン殴るとか無駄な根性論が無いのは「スポーツ根性もの」ではなく「スポーツもの」だw
スポ恨なんて今時時代遅れなんだよ。こういうのにすぐ影響されるバカどものおかげでいろいろな被害を被ってきた。自分がビシバシされたいのなら勝手だが、人に押し付けんな。
ドカベンは作者が根性論が嫌いで結構理詰めの野球をやるから、スポ根物とは言いにくい。
色々と勉強になります。
今にして思えば、凡人でもムチャクチャ鍛えれば一流に匹敵するほど強くなれるってのは、夢のある話だったんだなと。
昔は普通に意識せず見てたけど、今は胸が痛くなったり胸糞悪くなる事の方が多くなってしまったな…
テニプリ派と相いれないHQ派みたいなもんもあるんやで
最近のスポーツ漫画は必殺技ばかり使うから大して面白みを感じない
スポ根は時代遅れ…小学校時代のキャプテン翼はモロにスポ根アニメで、特に決勝戦なんか…ねぇw そして、ボクシングでリンかけ、プロレスでキン肉マン が出てこなかったのはなぜなんでしょうね?
なぜ野球カテゴリにキャプテンがないのか
体を虐めれば強くなる、っていうの嫌いだったな。体壊すときは本当に壊すから。まさかコーチが漫画に影響を受けているとは思いたくないけど
スポ根が単なる根性論の押し付け的なものであるのは否定できないけど、スポ根が時代遅れとなった最大の原因は「今の読者には根性や努力が足りない」からではないかと、敢えて苦言を呈してみる。
努力と根性ではどうにもならないし努力と根性でどうにかできるのはむしろ才能のある人同士の対戦なんだとみんな気づいてしまったからだろうな。インターネットが無数の天才秀才を衆目に晒してしまったんだ。努力が埋めてくれる差は町内会レベルであり、日本、世界と広がるほどにサラブレッドの博覧会になるという事実。スポーツが夢を見せてくれる時代の終焉。
試合中に入れ替わる選手が出るのはドカベンじゃなくておはようKジローだし、五つ子なんだよなあ。
昔と比べて爽やかというか、イケメン・美女ばっか。それに根性論より心理学を取り入れた練習、試合では技バンバン出すより駆け引きが細かく描かれるようになったな
最近観た中で一番スポ根してたのは、たぶん競女。
上の方に挙がってるが「キャプテン」入ってないのが悔やまれる。本当に良い作品なのに
スポ”根”ものなのに根性論が抜けていく不思議
そりゃ腐受け考えたら、イケメンになるんだよなぁ。腐は汗臭い努力とか要らんし。
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